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【蔦葛物語】第12話 几帳(きちょう)の綻び ~後編~


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2001.01.01

基本的にワンルーム構造であった平安貴族の邸宅は、生活に便利なように、几帳をはじめとする、さまざまな屏障具(へいしょうぐ)で仕切って使われた。

屏風や障子(現代の襖。木枠にはめ込んだり、自立する脚をつけたりして使う)は我々にもなじみがあるが、几帳は、せいぜい神社の拝殿で見たことがあるかどうか、というくらいであろう。

几帳とは、壁代(かべしろ)と呼ばれる帷子(かたびら)を衝立状にしたもので、わかりやすく言えば布の衝立である。素材は、冬は練絹(ねりぎぬ)、夏は生絹(すずし)を用いるのが普通であったが、錦や綾を用いた、美麗几帳と呼ばれるものもあった。

いずれも単なる仕切りではなく、室内装飾を兼ねていたので、几帳、特に美麗几帳は、見事な染めがほどこされた、美しいものであった。

几帳は一枚布ではなく、何条かの帷子を横に連ねた構造であったので、帷子と帷子の間の隙間から、向こう側をのぞき見ることができた。その隙間を「几帳の綻び」と呼び、平安文学には、そこから向こう側をのぞき見るシーンが数多くある。

***

いったい、誰が訪ねてきたのだろう。

拾(じゅう)が応対している間に、身支度を整えて待っていると、数人の召人が、幅五幅(約百五十センチ)ほどの几帳を担いで入ってきた。

帷子の素材は絹だろうか。染といい、実に見事で、高価なだけでなく、気品も持ち合わせた、見事な品であることが一目でわかった。

拾が私に報告する。

「中将の君からの、贈り物にございます」

中将の君のことなら、私も聞いたことがあった。文武に優れ、出世街道をまっしぐらに突き進んでいる、今をときめくお方だという。それだけでなく、たいそうな美形でもあり、宮廷の女官たちの憧れのまとでもあるという。

それほどのお方でありながら(もちろん、浮ついた恋の噂はいくつもあるけれど)、未だにご結婚なされていないのも、女官たちをときめかせる理由の一つだ。
何でも、

「私をときめかせるほどの姫君に、未だお目にかかっていない」

とのことであった。

その中将の君が、なにゆえ私などに几帳を贈ってきたのだろうか。

私は、不可解に思いながら、添えられた文を手に取った。

(つづく)

▼ライター:DENNY喜多川さんプロフィール

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