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連続官能小説『三日月の夜、星になりたい』第8話~理想の彼氏って?~

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2018.12.06

ホテルのラウンジで待ち合わせをする男女

グズグズしてはいられない。彼氏が欲しい。結婚したい。結婚すれば、今の不満たっぷりの日常から抜け出せる。つまらない仕事、ワクワクしない休日。姉の美佳子は夫婦生活の危機にあるもののちゃんと結婚はしている。一度でも結婚した者はその余裕が垣間見える。余裕は下手をすれば傲慢に変化する。美佳子夫婦はそこのさじ加減を間違えている。

美知留は結婚について思いを巡らせた。結婚が世界をガラリと変えてくれるのだ。30歳を過ぎると恋のチャンスが激減という厳しい現実もわかっている。美知留は凪の件を忘れるために、なんでもいいから動きたかった。

美知留をあせらせる要因がもうひとつできた。あの地味な茜に彼氏ができたのだ。連休に地元に帰り、同窓会に出席した時に。当時はなんとも思っていなかった戸樫くんに付き合おうと言われたと細い目をさらに細めて話す。

美知留にのろけ話をする茜

戸樫くんも東京で働いている。卒業後10年経ち、戸樫くんは仕事ができるたくましい男になっていたと。そんな話を淡々とする茜は、前とは雰囲気が変わり、自信みなぎる女の顔つきに変わっている。マイナスな言葉を吐かなくなっている。プレゼントした「キス専用美容液」のおかげで、彼に唇を褒められて、キスされたとのろけ話までしてくるほど。男は女を変える、美知留は実感した。そしてあせりが増幅した。

理帆に紹介された結婚相談所に行き、登録作業をした。無料のマッチングアプリとは違い、お金がかかっていることもあり、担当者がついて小さなことまで真剣にアドバイスしてくれる。恋愛にこれほど準備がいるなど初めて知った。素敵な恋がある日突然降ってくるなんてことは、映画の世界にしかないと美知留は覚悟を決めていた。

「お相手に望まれる事項は何ですか」と尋ねられ、即答できない。彼氏に望むこと?理想の彼氏って何だろう。安定した仕事をしていることか。それは大事かもしれない。でも美佳子の旦那は上場企業の管理職なのに美佳子は幸せになっていない。好みのルックスか。インスピレーションは大事だが、凪で大失敗している。

いや、過去二回の黒歴史も相手を顔で選んでいた。ルックスにみとれるとダメな点が見えなくなる。理帆にも散々叱られた。やさしさか。やさしさなら誰でも持っている。”やさしい彼氏”と皆が求めるが、最初の頃はみんなやさしい彼氏じゃないか。打算的な人間なら、メリットがあると思えばその時はやさしくする。そんな自問自答をしていると担当者の問いに答えることができなくなった。担当者は慣れている。

ご自分を計算高いとか思わないでくださいね。お相手選びはご自分の希望をまず整理して、最後の最後にすり合わせをすればいいだけですから」

あまりに事務的な言い方に美知留は安心して希望を告げた。

「私をいちいち不安がらせないひと。私を馬鹿しないひと。それから、毎日、セックスで気持ちよくさせてくれる大人のひと。男の人に大切にされたことがないから・・大切にされたいんです」

担当者はのけぞって目をパチクリさせたが、気を取り直してこっくりうなずいた。

担当者がデータをくれた中から美知留が会いたいと直感した男がいた。その名は由井勝久。40歳。郊外で整体院を三件経営している。整体院を大きくすることに注力し、婚期を逃したと言う。一回り上の大人の男に会ってみたいと思った。

初回のデートの日、相手が年上ということもあり、美知留は気負わず出かけた。美佳子にはまたダメンズを引いたと言われたくないので内緒にしている。由井が指定したホテルのラウンジは大きな窓から庭園の木々が目に入り、緑たっぷりのすがすがしい空間だった。高い天井にガラスのシャンデリアが吊るされ、夜には舞踏会でも開かれるかのような豪華さを醸し出す。

燦々と降り注ぐ陽光の中に由井は立っていた。バスケットボールでもしていのか、かなり長身の男。紺のジャケットは着慣れていないのかもしれない。微妙に肩幅がずれている。七三に分けた髪が誠実さを映し出す。美知留は遠目から見て好感を持った。

ホテルのラウンジで待ち合わせをする男女

駆け引きなんてしてられない。恋の進展は早い方がいい。「ベッド専用香水」をシュッとひと吹きして、由井の元へ向かった。

「はじめまして、上倉美知留です。書類でいただいたお写真と髪型が一緒なのですぐわかりました」

緊張した面持ちで由井がお辞儀をする。

「背が高いんですね」

「ええ、バスケかバレーやってたんですかって言われるんですけど、違います。カヌーです。昔やってたスポーツは。絶対聞かれるからあらかじめ言っとこう。」

おもしろい人。美知留は一気に親近感が湧いた。

「バスケの選手かと思いました。でも整体師さんって柔道整復師の資格持ってる方が多いからもしかして柔道?とも思ったんですけど」

由井もリラックスしたようだ。頬がほころぶ。顔の骨格がしっかりしていて安定感がある。将来のことをちゃんと考えられるひとという印象を受ける。

(つづく)

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●イラスト:フジワラアイ

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▼ライター:三松真由美さんプロフィール

三松真由美さん

恋人・夫婦仲相談所所長、通称すずね所長・コラムニスト

元主婦マーケティングの会社経営。
夫婦仲に悩む女性会員1万2千名を集め「ニッポンの結婚・夫婦仲」を真剣に考えるコミュニティを展開中。「ED」「セックスレス」「アンチエイジング」「再婚」「若い世代のエッチ」などのテーマを幅広く考察。

マスコミ取材も多く、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして着実に歩んでいる。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン制作委員。著書「新・抱かない男の見分け方」(スターツ出版)他多数。

▼三松真由美さんのサイトはこちら

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