1. ラブリサーチ
  2. 小説
  3. 三日月の夜、星になりたい10話

連続官能小説『三日月の夜、星になりたい』第10話~黒歴史の更新~

Feedly登録

2018.12.20

カンパリソーダを飲む女性

由井と交わったわけではないのに全身から力が抜ける。指先に力がはいらずダラリとたれる。美知留のセックスの黒歴史が更新された。だが由井と付き合っているわけではないので、試運転にすぎない。

由井は「心地よかったでしょ。紹介所への報告はどうする?交際継続で報告しますか」と、事務的に話しかける。これが大人の余裕なのか。

ふと、我に戻る。由井は外見も悪くないし、安定した職業なのになぜ結婚紹介所に登録しているのか。登録歴は2年と言う。そんな長い間、相手が見つからないなんて何かあるのでは。

美知留は、含むような口調で「あの・・もう少し考えさせてください。大事なことだから。でも・・・指圧もエッチも私史上最高によかったです

「ははは、最後までしていませんよ。ステップワンのマッサージです

由井はいつの間にか服を着てお見合いスタイルに戻っている。

「じゃあ僕の方は二度目も会ってみたいと報告します」と言い残した。

その夜、理帆に電話をする。理帆は待ち構えていたようで、秒速で電話に出る。

「どうだったの?結婚相手の候補は」

「あのね・・途中までしちゃった・・」

「はあ?途中までってエッチのこと?もう?なんで?どこまでしたのよ」

「話の流れで。長身で清潔そうで悪くないと思って。十二歳も年上の大人だったし。」

「えーー??すぐ寝る女と思われたら失点になるじゃない

寝てない。触られただけ。結婚相談所って時間かけるほどお金飛ぶし、時間かけてゆっくり探すっていう気にならないの。時間もったいない」

理帆はちょっと間を置いて声のトーンを下げる。

みっちの性急さがモテない原因ってわかったわ。アイドル顔とも五回目のデートでしちゃうし」

・・でもね、その時は相手のこと好きなのよ。エッチしたいなって思うの。今日の彼も、すっごく大人に見えたから。守ってもらえそうって思って」

「結婚してもいいと思った?」

「まだわからない。条件がいいのに残ってる男の人って怖くない?でもエッチのテクは最高に気持ちよかったよ」

「まあ、それは大事なことだわ。その言葉が聞けただけでもよかった。でもみっちの言う通り。結婚考えるなら何度も会って確認したほうがいいわ」

「理帆、今回は結婚相談所を通してるから、恋愛とは違うよね。相手に欠点がなければ恋をすっ飛ばして結婚だもんね。なんか寂しいな。」

グズグズ言う美知留に理帆が小さなあくびをしたのがわかった。

会社のロッカールーム、ファンデーションの匂いが立ち込める。週末なので皆、デートか合コンに繰り出すのだろう。茜が浮かない顔で着替えをしている。

「茜、どうかした?彼氏と喧嘩でもした?」

「みっちはいいよね。胸があって。やっぱり男は大きな胸の女に惹かれる」

茜はきっとセックスでつまずいたに違いない、美知留は直感した。そのあとも茜は自分の女性性を否定する言葉を吐き出す。前の暗い茜に戻っている。美知留はむかついた。

「ちょっと、聞いてらんない。彼氏できて明るくなったって思ってたのに、元通りじゃん。暗いブスって自分で思い込む限り、そうなるよ。彼氏に胸がないって言われたの?それくらいで暗いブスに戻らないでよ!職場まで暗くなる。もっと自信もってよ。私はいい女だって自分で思わないと彼氏、逃げてくよ

唖然とする茜を置いて、美知留はロッカールームのドアを思い切り強く閉めた。

バッグの中でスマホが振るえる。結婚相談所の担当者からだ。

「あの、誠に申し上げにくいことが起こりまして。この前ご紹介したナンバー215の由井さんなんですけど。急に退会されたので、仕切り直して別の会員さんを・・

「はあ?退会?だって、私、二度目のデート申し込む欄に○つけたんですけど」

「・・はい。事前リサーチ不足で失礼しました。異例の事態なのでお伝えしますが、外国人の女性と急に結婚が決まったということで。あの・・行きつけのバーで出会った女性とのあいだに赤ちゃんが・・あ、本来はお伝えできないことですが、上倉さまが納得なさらないかと思い、」

「もういいです!そんないい加減な人っていうことがわからなかったんですか?」

「はい、プライベートで飲みに行かれる場所などは告知義務はないものでして・・」

またも美知留は沼の底に突き落とされた。はじめて大人の男の人と話して、ほぐしてくれるようなやさしいセックスの序章までたどりついたのに。

フラフラ歩いていて見つけた立ち飲みバーでカンパリソーダを一杯あける。理帆と一緒に飲んだカンパリと違い、舌の上に苦味が貼り付いた。渋谷の街の喧騒の中にいるのに、周りの音が耳に入らない。美知留だけが澱んだ空気の玉に包まれて、孤独な空間にいるような気がする。

カンパリソーダを飲む女性

寂しい。どんなにがんばっても彼氏なんかできやしない。結婚なんてしなくてもいい。自暴自棄な考えが点滅し始める。茜の暗い顔が浮かぶ。

「茜のこと、馬鹿にできない・・私こそモテない暗いブスだ・・」

(つづく)

※第11話は、12/27(木)に配信します。お楽しみに!

<バックナンバー一覧はこちら

関連記事

●イラスト:フジワラアイ

リビドー広告LP

ムーンライトノベルズ小説コンテスト

▼ライター:三松真由美さんプロフィール

三松真由美さん

恋人・夫婦仲相談所所長、通称すずね所長・コラムニスト

元主婦マーケティングの会社経営。
夫婦仲に悩む女性会員1万2千名を集め「ニッポンの結婚・夫婦仲」を真剣に考えるコミュニティを展開中。「ED」「セックスレス」「アンチエイジング」「再婚」「若い世代のエッチ」などのテーマを幅広く考察。

マスコミ取材も多く、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして着実に歩んでいる。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン制作委員。著書「新・抱かない男の見分け方」(スターツ出版)他多数。

▼三松真由美さんのサイトはこちら

関連ワード

LINE登録

エルラブ 帰れない夜…キケンな上司とラブホテル!?

あなたの回答が記事になる!アンケート回答の募集

恋愛観・恋愛体験
【女性に質問】運命の出会いはあると思いますか?
恋愛観・恋愛体験
【上京経験者に質問】上京したてのころ、恋愛にまつわる失敗経験はありますか?
エッチ・ラブタイム
【女性に質問】ラブタイムの時、どちらの下着から脱ぎますか?
彼・パートナーとの関係
動物を飼っているパートナーと付き合ったことはありますか?
2019決算セール
さくらの恋猫進化
★注目!今だけの特別企画
専門家からじっくり学ぶ!
人気の記事ランキング
  1. 「ときめき不感症」になってない!?運命の出会いに繋げるときめきトレーニング
    1位 「ときめき不感症」になってない!?運命の出会いに繋げるときめきトレーニング
  2. エッチ初体験は皆どうだった?痛かった?年齢や場所など統計を公開!
    2位 エッチ初体験は皆どうだった?痛かった?年齢や場所など統計を公開!
  3. 「俺のものになれよ…」俺様彼氏との秘密のプレイが刺激的な官能体感コンテンツ2選
    3位 「俺のものになれよ…」俺様彼氏との秘密のプレイが刺激的な官能体感コンテンツ2選
  4. そうだったの?1年で1番ラブグッズ(バイブ)が売れる月は?
    4位 そうだったの?1年で1番ラブグッズ(バイブ)が売れる月は?
  5. スリル満点!「さくらの恋猫」が叶えるあんなところでエッチ体験
    5位 スリル満点!「さくらの恋猫」が叶えるあんなところでエッチ体験
おすすめトピック

トピック一覧ページへ

新着情報

トキメキ沢山!LCの無料H漫画&小説

バックナンバー

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005

2004

2003

2002

2001

2000

LCとは
LC採用
page top