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連続官能小説『三日月の夜、星になりたい』第11話~気持ちの変化~


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2018.12.27

抱き締め合う女性たち

酔うこともできずに家に戻る。美佳子には黙っておくことはできないと思った。隠していたことを吐き出す。結婚相談所に入会して由井と会ったこと。思いがけない悪い展開になったこと。月灯りが部屋の窓からやさしい光をほうりこんでいる。いつになく美佳子はやさしく、美知留をそっと抱きしめる。

「あせることない。恥ずかしがり屋の美知留を脱皮できただけでも成長。自分の気持ちを相手に言えるようなったってすごいことだよ。いつか美知留を求めてるイイ男が現れるよ

「おねえちゃん・・・らしくない。今夜のおねえちゃん」

「あのさ、私、旦那に浮気されたんだよね。許してくれって、泣いて言われたんだけど私のプライドが邪魔して家を出たんだ。でもね、やっぱり好きなの。旦那のこと。すごく。自分に自信がないとまた浮気されるって不安になるけど、最近、仕事で成績が上がって褒められてるうちに、余裕出てきてさ。許してやるかって気になったの」

「おねえちゃん・・」

「来月から正社員になる。異例の出世だって。みんなに認められた。気分いいのよ。これって。旦那に電話したら・・とても喜んでくれた・・・旦那のとこに帰る

はじめて美佳子の奥深いところにある素直な部分に触れた気がした。強い完璧な女と思っていた美佳子ですら不安を抱え、もがいていたのだ。悔しさを隠して笑顔でいたのだ。パートの仕事にも全力でぶつかっていた。月灯りの中に浮きあがる美佳子の横顔はりりしく美しい。透き通るほどの白い頬に、美知留は自分の頬をくっつけた。

「おねえちゃんが、私のおねえちゃんでよかった・・」

抱き締め合う女性たち

翌日、職場に向かう美知留の心のベクトルは空を指していた。花から吸い込む空気すらすがすがしい。つまらない仕事なんかないんだ。美佳子だって慣れない営業に手探りで取り組んだ。美佳子みたいになりたい。人ができないことをやろうなんて思わず、周りの人に助かるよって言われることをしよう。美知留はその日から自分でできることにこれまでの倍のパワーを投入した。

表計算もダラダラとせず、短時間で終わらせ、書類をバインダーにまとめる作業も丁寧に取り組む。空き時間にデスク周りの掃除もした。外回りから帰ってきた社員にお茶を渡したり、元気な声で「お疲れ様!」と呼びかける。毎日、小さな仕事にいとしさを感じるよう向き合う。

2ヶ月も過ぎる頃、気分が少しずつ変わってきた。見えていなかったことが見えてくる。押し付けられためんどくさい小仕事が実は意義があることだと気づく。美知留の様子に気づいた茜がおそるおそる話しかけてきた。

みっち、最近、なんか生き生きしてるね。てきぱき動いてるし、仕事楽しそう。あのね、いつかロッカールームで言われたみっちの一言、効いたよ・・。パンチ喰らった。言ってくれてありがと」

茜が力を振りしぼるようぎごちなく笑う。

茜、自分のこと暗いブスだなんて思わないでね。それより2課が募集してる幼稚園向け知育家具のアイデア一緒に考えない?」

「そうだね。おもしろい企画出そうか」

二人はその日から毎晩一緒に残業をした。茜は地元の彼とは別れたが、仕事が楽しくなってきたようだ。美知留も恋愛のことは忘れて日々の仕事に没頭した。

仕事が一段落した頃、理帆から誘われる。

みっち、ついに私、結婚決まった。一年後。取引先の会社の長男と。カバさんみたいな人ではないけど王子様には程遠いよ。お祝いしてよ」

「そっか、とりあえずはおめでとうだね。結婚式楽しみ」

週末、渋谷のローズB。カウンターに並んで座り、カンパリで乾杯した。親が決めた結婚とは言え、理帆はさっぱりした顔で元気そうだ。心の備えができていた女は強い。

理帆はカウンターの下に置いていたバッグからパンフレットとトレーニングウェアがはいった紙袋を取り出して美知留に渡す。

「私からのプレゼントだよ。叔父さんがスポーツジムのオーナーになったの。10店舗あるんだ。この井の頭線沿いのジム、みっちの家に近いから入会してよ。みっちは特別に3ヶ月会費無料にしてもらえる。IT企業の社員が多いらしいから、出会いがあるかもよ

いつもどおりしたたかな顔付きでウインクする。

バーでカンパリソーダを飲む女性たち

「ありがと。ジムかあ。ダイエットのために行ってみようかな。足太いんだよね。とくにふくらはぎがパンパン。そう言えば、わたし、趣味がないしさ、いい機会かも

彼氏を見つける意欲は下火になっていたが、新しいことを始めたいという気持ちはあった。めんどくさがったり、現状の不満を野放しにしていた前の美知留とは大違いだ。

井の頭線沿いのジム。理帆がプレゼントしてくれたピンク色のトレーニングウエアに着替え、スタッフからマシンの使い方を聞く。トレッドミルとエアロバイクは常に順番待ちの人気マシンなので、チェストプレスという胸の筋肉を鍛えるマシンに座り、一番軽い負荷にトライする。

「いーち、にー、さーん・・」とゆっくりプレスしていると、その声の丁度二倍速の速さで「フッフッフ」という呼吸音が聴こえた。

(つづく)

※12話は、1/3(木)に配信します。お楽しみに!

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●イラスト:フジワラアイ

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▼ライター:三松真由美(みまつまゆみ)さんプロフィール

三松真由美(みまつまゆみ)さん

恋人・夫婦仲相談所 所長 (すずね所長)・執筆家

夫婦仲、恋仲に悩む女性会員1万3千名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。性を通して男女関係をよくするメソッドを考案。「セックスレス」「ED」「女性性機能」に詳しい。

恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演、メディア取材多数。20代若者サークルも運営し未婚世代への結婚アドバイスも好評。ED診療ガイドライン作成委員。セックスレス改善に定評がある。

▼三松真由美(みまつまゆみ)さんのサイトはこちら

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