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連続官能小説『三日月の夜、星になりたい』第12話~新しい恋の始まり~

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2019.01.03

女性にバーベルカールの使い方を教える男性

斜め前のレッグエクステンションマシン。太ももの前の筋肉を鍛える足専用マシン。よく見ると肩の筋肉がパンっと盛り上がった筋肉質の男がおもりをたくさんつけて足を鍛えている。真夏色に焼けた肌に汗がワックスのように張りついてテカっと光る。首が太くてプロレスラーのように見える。マッチョで強そうだ。秒刻みのきれいな動き。筋肉と血管がきれいに浮き上がり、ヒトの身体の構造がひと目で分かる。美知留は我を忘れてじっと見入ってしまった。

視線に気づいた男が、美知留を見てニカっと微笑みかける。屈強な身体とはうらはらのかわいらしい顔。こめかみを汗がつたっている。白い歯が健康をアピールしている。

「あ・・あの・・」

「レッグやります?俺、長時間占領しちゃってました。」

「いえ、続けてください。すみません、初心者なもので、そのマシン、そうやって使うのかってついガン見しちゃいました。足細くなるかなぁ・・」

男がマシンを離れて美知留のほうに歩いてくる。

「足の鍛え方教えますけど、そのマシントレーニングも大事ですよ。胸筋を鍛える前に、上腕鍛えるほうがいいかも。あっちのエリアでバーベルカール教えてあげますよ。地味だけど確実ですよ。そのあと、足いきましょう」

「は、はあ。」

圧倒されて言いなりになる。男はバーベルエリアでわかりやすく上腕二頭筋の鍛え方を説明してくれた。

女性にバーベルカールの使い方を教える男性

男の身体から立ち込める汗の香りと湯気が美知留の鼻孔をくすぐる。絵に描いたような完璧な体型。久しぶりに美知留の中の女がクラリとする。由井の指で絶頂に導かれて以来、ご無沙汰だ。この人はどんなセックスをするのだろう。女性を組み伏せる、太い腕をがんじがらめに巻きつける、パチリと音がたちそうなほど張り切った胸の筋肉をやわらかな乳房に押し付ける。美知留の淫靡な妄想がまたたく間に広がる。妄想が男に伝わったのかもしれない。

「俺、藤田です。ジムの人たちからはワタルくんって呼ばれるんですけど。あ、このジムは去年から来てるんですよ。おねえさんは?」

「あ、私、上倉美知留です。今日ジムデビューしました。」

「今日からですか。美知留さん?いい名前ですね。日本的っていうか。俺、古武道の選手なんですよ。筋肉キープするために毎晩ここに寄って風呂入って帰るんですよ。ガス代浮くし。ハハハ」

古武道という競技があることすら知らなかった。そのまま藤田渉にジムにあるマシンの使い方を全部教えてもらう。渉は人がよく、スタッフが足りないときなどスタッフの役割をするんだと豪快に笑った。

男臭という汗の匂いがプンプン漂うが美知留はまったく嫌ではなかった。むしろ、もっと嗅いでいたいと思えた。男の匂いには嫌な匂いと引き寄せられる匂いの二通りある。ワタル臭は魅惑的だ。

美知留は週三回、会社帰りにジムに寄り、渉との距離を縮めていった。渉は中堅工務店の正社員。設計事務所と提携して見積もりから施工までこなしている。学生時代からずっと古武道を続け、大会があるたびにベスト3に入る。スポーツ選手とサラリーマンの二足の草鞋。

美知留は渉のことをもっと知りたいと思う。渉の汗の匂いをふとした時に思い出すようになった。しかし凪と由井との消したい過去のことがある。次に踏み出すことができない。

恋も結婚もあせることはないという落ち着きも出てきた。日々の仕事に小さな意義を見つけ、人の恋愛やハッピーを妬まない。美知留は確実に大人への階段を登っている。

季節が変わり、渉が古武道の試合に誘ってくれた。このときから急速に二人は接近した。渉はまじめに週3回トレーニングを続ける美知留に、いろいろなことに真剣に向き合っているという印象を得た。

初めて会ったときからずっと美知留だけを見ていたと言う渉のまっすぐな告白に美知留は大きく頷く。

「こんどこそだいじょぶ」と小さなこぶしを作った。気になっていた渉の汗の匂いを堂々と嗅ぐことができる。

夜の公園で二人きりになった時、美知留は太く力強い首に両腕を巻き付ける。

「うぉ、いきなり大胆ですね」

渉の肉付きの良い耳たぶが美知留の頬にあたる。男の匂いが脳内をつんざく。背骨に張り付く神経を通して美知留のお城が久しぶりにグラグラ揺れる。

「大胆な女は嫌い?」

「いや・・大歓迎ですよ。もう・・していいんすか」

「私はずっと待っていたもん。渉くんの流れる汗に何ヶ月も感じてた」

渉の一人暮らしの部屋にもつれるようになだれ込む。いつも嗅いでいる何倍もの渉の匂いが部屋中に充満している。

美知留は、過去のセックスでのトラウマから、アソコがしっかり潤うか、痛くないか心配だった。由井は大人のテクニシャンだったが、渉はそうとは限らない。ポーチに忍ばせておいた、アソコの潤いをサポートしてくれるコスメがある。リップスティックほどこぶりのベッド専用コスメ。こっそり塗っておけば安心だ。足早にトイレに駆け込む。中指で塗り込んで、マッサージする。

ベッド専用コスメを塗る女性

敷きっぱなしの布団の上でブラウスを抜がされる。我慢できないと言わんばかりに荒くれた動き。ブラジャーをはずさないままたくしあげられ、美知留の硬くとんがった乳首めがけて舌先を押し付ける。みずみずしい肌が瞬時で桃色に染まる。

「んああぁぁ・・渉くん・・」

美知留も渉のTシャツを思いっきり引っ張りながら脱がせる。盛り上がった胸筋が目の前で波打つ。美知留のお城への廊下にミツバチが蜜を垂らしながら飛び回る。

男の汗の匂いと甘い蜜の香りが重なり合い、混じり合い、空気の中に溶け込む。裸になった美知留は大きく足を開く。

(つづく)

※第13話は、1/10(木)に配信します。お楽しみに!

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●イラスト:フジワラアイ

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▼ライター:三松真由美さんプロフィール

三松真由美さん

恋人・夫婦仲相談所所長、通称すずね所長・コラムニスト

元主婦マーケティングの会社経営。
夫婦仲に悩む女性会員1万2千名を集め「ニッポンの結婚・夫婦仲」を真剣に考えるコミュニティを展開中。「ED」「セックスレス」「アンチエイジング」「再婚」「若い世代のエッチ」などのテーマを幅広く考察。

マスコミ取材も多く、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして着実に歩んでいる。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン制作委員。著書「新・抱かない男の見分け方」(スターツ出版)他多数。

▼三松真由美さんのサイトはこちら

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